万年筆の基礎知識
万年筆の基礎知識

万年筆は微妙かつ繊細な書き味の筆記具です。その最大の特徴は、小さな金属を2つに割ったペン先から生まれるデリケートな書き味。 ペン先に加わる力の強弱によって、ペン先に弾力が生まれ、微妙な書き味が実現します。 ペン先も、細いものから太いものまで様々。使う人の個性が発揮できる筆記具です。

【 ペン先 】
「万年筆の頭脳」とも呼ばれるほど、最も重要な部分であり、金(Au)を採用したものが代表的です。
これはインクの酸におかされず、適度な弾力性と書き味があるからです。現在ではステンレス製のものもあります。
【 ペン芯 】
ペン芯は「万年筆の心臓」とも呼ばれ、 ペン先にインクをスムーズに送るため特徴ある構造をしています。
ペン先にインクが流れた分だけ胴内に空気を入れ、ペン先に毛細管現象を利用してインクが流れるように工夫されたものです。
【 ペンポイント 】
文字を書く場合は一定の筆圧を持って紙の上を走り続けるため、14金・18金・21金のように柔らかい金属では先端が摩耗してしまいます。
これを防ぐためにペン先の先端に耐摩耗合金がついています。使用材料はイリジューム(Ir)、オスミューム(Os)の元素などから成っています。
【 胴 】
インクの貯蔵部であると同時に、にぎりやすい形状・太さになっています。材質はプラスチック、真鍮、ステンレス、銀、天然木などが使われ、
ラッカー塗装、うるし塗り、蒔絵などで表面を装飾したものなど、様々な種類があります。
【 キャップ 】
ペン先の保護とインクの乾燥を防ぎます。
【 大先 】
ペン先を固定し、インクの流出を調整するペン芯が内蔵されています。
【 インクの吸入構造 】
カートリッジ式 |
吸入式 |
![]() |

![]() |
ペン先の大きさや形は千差万別。それぞれ違った書き味を生み出します。例えば、わん曲が極端なペンは硬い感じ、
ゆるいものは柔らかい感じの書き味です。 |
区分 | 色調 | 種類 (表示) |
特長 |
---|---|---|---|
金ペン | 黄金色 | 14金 | 弾力にバラエティーが持たせられる。金(Au)を使用 |
18金 | |||
21金 | |||
特殊合金 | 白色 | 特殊ステンレス | ハード調の弾力 |
メッキペン | 黄金色 | (白色ペンにメッキ) | ハード調・ソフト調の弾力 |
自分にとってピッタリの書き味を見分けるには |
![]() |
セーラー万年筆「スタンダードペン先」の7種類の字幅と特長
![]() |
極細[EF] 細い線がクリアに書け、簿記などの記帳に適しています。 システム手帳などの小さいものへの書き込み用として人気です。
|
![]() |
細字[F] 一般的な細字用。ノートや手紙などを書くときに最適です。 1枚の紙にたくさんの美しいきめこまやかな文字をどうぞ。
|
![]() |
中細[MF] 手紙や日記などに適しています。 年齢を問わずお使い戴け、細目の字ならではのやさしさが幅広く好評です。
|
![]() |
中字[M] 一般的な中字用。凡用性が高く、幅広く使われる定番品と言えるものです。 はじめての万年筆なら、このあたりがおすすめです。
|
![]() |
太字[B] 一般的な太字用。チェックやサイン用にエグゼクティブなら1本は常に座右したい万年筆のペン先です。
|
![]() |
ズーム[Z] 筆記角度により細字から太字までが自在に書けます。お仕事によって便利性発揮のクリエイティビティなペン先です。
|
![]() |
ミュージック[MS] 本来は楽譜用。デザイン文字などにも適していると人気が高まり、多彩に用途が広がっています。
|
以上がスタンダードタイプのペン先です。
セーラー万年筆では上記ペン先以外に、オリジナルペン先を取り扱っております。

万年筆のメンテナンス(お手入れ)
万年筆が書けないときは、まず確認してください。 インクが入っていますか?長い時間使わずにいませんでしたか? あたりまえのことですが、書けないのはインクが入っていない、あるいはインクが出ないからです。 いったんインクを入れたペンが書けないときは、水分が蒸発してペン芯・ペン先などにインクの成分が詰まっていることがほとんどです。 掃除をしましょう。
カートリッジ式・コンバーター式の場合 |
![]() |
吸入式の場合 |
![]() |
※透明軸やスケルトンカラー軸の場合、大先の中に色(インク)が付く事がありますので、 浸け洗いはお避けいただき、ペン先部分のみを水で洗い流してください。
インクの補給方法
カートリッジ式の場合 |
|
吸入式(コンバーター式含む)の場合 |
![]() |
インクの補給方法
色を替えるなどインクの入れ替えをしたいとき |
![]() |
保管方法
しばらく使う予定の無いときは必ずインクを抜いて、上記の要領で洗浄して水分を完全にふき取ってから大切に保管してください。 こうしておくことにより胴やペン先・ペン芯などがきれいに保たれれば、次に使用するとき、万年筆はあなたの期待にまた応えてくれるはずです。